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リチウム電池を送る:航空(IATA PI965〜970)・海上(IMDG SP188)・国内宅配で必要なラベル・書類の違いと UN38.3 試験概要書

更新日 2026-09-19 · ParityLabel 編集部

UN 番号が決まっても、ラベルはまだ決まりません。同じ UN3481 でも、航空貨物として出すのか、コンテナで海上輸送するのか、国内の宅配便で送るのかで、必要な表示と書類が変わります。この記事は輸送モード別に「何を貼り、何を添えるか」を整理したものです。UN 番号の決め方とマークの寸法は基礎の記事を参照してください。

この記事の要点

  • 航空:梱包基準 PI965〜970 とセクション IA / IB / II で表示が決まる。単体電池(UN3480・3090)は旅客機搭載不可、Cargo Aircraft Only ラベル必須、充電率 30% 以下。
  • 海上:クラス 9(9A ラベル)が基本。特別規定 188 の小型電池はリチウム電池マークだけで大部分が免除、1 個口 30 kg まで。
  • 国内陸送:法令上の危険物規制は航空・海上ほど厳しくないが、宅配各社の約款航空搭載区間で受け付け条件が決まる。
  • UN38.3 試験概要書は 2020 年から提示義務。ラベルには載せないが、ないと受け付けを断られる。
  • どのモードでもリチウム電池マークUN 番号は共通。モード固有なのは 9A ラベル、CAO ラベル、書類。

1. 航空:梱包基準とセクション

UN 番号内容梱包基準セクション主な表示
UN3480リチウムイオン電池 単体PI965IA / IB(II は 2022 年廃止)9A ラベル、CAO ラベル、UN3480 と正式品名;IB はリチウム電池マークも
UN3481同・機器同梱PI966I / III:9A ラベル+UN 番号;II:リチウム電池マークのみ
UN3481同・機器組み込みPI967I / II同上(II で 4 セル・2 電池以下の小口は一部マーク免除)
UN3090リチウム金属電池 単体PI968IA / IB9A ラベル、CAO ラベル、UN3090
UN3091同・機器同梱PI969I / IIUN3481 と同じ構造
UN3091同・機器組み込みPI970I / II同上

セクション II に入れる条件はイオン系でセル 20 Wh 以下・電池 100 Wh 以下、金属系でセル 1 g 以下・電池 2 g 以下のリチウム含有量。これを超えると I(IA/IB)になり、危険物申告書と UN 規格容器が必要です。単体電池の UN3480・UN3090 は 2016 年以降旅客機に搭載できず、貨物専用機ラベル(Cargo Aircraft Only)が付きます。充電率は 30% 以下——2026 年からは UN3481 の機器同梱にも広がりました(詳細は英語記事)。

9A ラベルとは:2019 年から義務化された、クラス 9 の菱形に電池の絵を加えたラベルです。リチウム電池マーク(長方形、電池と炎の絵、UN 番号入り)とは別物で、セクション I では両方ではなく 9A と UN 番号表示、セクション II ではマークのみ、と使い分けます。

2. 海上:IMDG コードと特別規定 188

区分条件表示書類
通常のクラス 9SP188 の条件を超える電池9A ラベル、UN 番号と正式品名、必要に応じ海洋汚染物質マークは不要(該当せず)危険物申告書(DGD)、コンテナ収納証明
特別規定 188(小型電池)セル 20 Wh / 電池 100 Wh 以下(イオン)、セル 1 g / 電池 2 g 以下(金属)、短絡防止、頑丈な外装、1 個口 30 kg 以下(機器同梱・組み込みを除く)リチウム電池マーク(機器組み込みで 4 セル・2 電池以下の小口などは免除)危険物申告不要;ただし UN38.3 試験概要書は提示義務

海上は航空より緩やかですが、マークの耐久性が厳しい点に注意——IMDG コードは海水に 3 か月浸漬しても識別できることを求めます。屋外・港湾で長期間置かれるコンテナ内貨物は、紙ラベルではなく耐水フィルムラベルに印刷してください。

3. 国内陸送と宅配便

日本国内の道路輸送には、航空法や船舶安全法のようなリチウム電池の包括的な危険物規制はありません。実務上の条件を決めているのは宅配・路線各社の約款と、航空機に搭載される区間(離島、北海道・沖縄向けの一部サービス)です。共通する傾向は次のとおりです。

発送前に各社の「危険物・取扱注意品」ページで最新条件を確認し、外装にはどのモードでも通用するリチウム電池マーク+UN 番号を付けておくのが安全です。

4. UN38.3 試験概要書(Test Summary)

国連危険物輸送勧告は 2020 年 1 月から、リチウム電池の製造者・販売者に対し、要求があればUN38.3 試験の概要書を提示することを義務付けました(2.9.4(g))。記載項目は製造者名と連絡先、電池の説明(型式・質量・Wh またはリチウム量)、試験機関、報告書番号、実施した試験項目(T.1〜T.8:高度シミュレーション、温度試験、振動、衝撃、外部短絡、衝突/圧壊、過充電、強制放電)と結果、勧告の版です。ラベルには印刷しませんが、輸送業者や荷受人から求められたときにすぐ出せないと受け付けを断られることがあります。電池メーカーから PDF を入手し、製品ごとに保管してください。

5. モード別チェックリスト

項目航空海上国内宅配
リチウム電池マークセクション II/IB で必須SP188 で必須(例外あり)推奨〜必須(各社条件)
9A クラス 9 ラベルセクション I(IA/IB)で必須SP188 を超える場合必須不要
Cargo Aircraft Only ラベルUN3480・UN3090 単体で必須不要航空搭載区間は単体不可
UN 番号と正式品名必須必須マークの UN 番号で足りることが多い
危険物申告書セクション I で必須SP188 を超える場合必須不要(事前申告を求める社あり)
充電率 30% 以下UN3480、2026 年から UN3481 同梱規定なし(推奨)規定なし
UN38.3 試験概要書提示義務提示義務求められれば提示
ラベル耐久性通常海水 3 か月浸漬に耐える通常

リチウム電池マークを規定サイズで作成

UN 番号と電話番号を入れて 100×100 mm または 100×70 mm のマークを SVG・PNG・PDF で出力。航空・海上・国内どのモードでも共通で使えます。 ツールを開く →

参考資料

よくある質問

リチウムイオン電池単体を航空便で送るときに必要なラベルは?

UN3480 の単体電池は梱包基準 PI965 に従い、旅客機には搭載できないため貨物専用機ラベル(Cargo Aircraft Only)が必須です。セクション IA・IB はクラス 9 リチウム電池ラベル(電池の絵が入った 9A)と UN3480 の表示、IB はさらにリチウム電池マークも付けます。充電率は 30% 以下。2022 年以降 UN3480 のセクション II は廃止されており、小型電池でも IB 以上として扱います。

海上輸送ではリチウム電池にどんなラベルが要りますか?

IMDG コードでは UN3480/3481/3090/3091 はクラス 9 として 9A ラベルと UN 番号・正式品名の表示が必要です。ただし特別規定 188 に該当する小型電池(イオン系はセル 20 Wh 以下・電池 100 Wh 以下、金属系はセル 1 g 以下・電池 2 g 以下)は、リチウム電池マーク(機器に組み込んだ場合など一部は不要)を付ければ他の大部分の要件が免除され、1 個口の総質量は機器同梱・組み込み以外は 30 kg までです。

国内の宅配便でリチウム電池は送れますか?

機器に組み込んだ電池(スマートフォン、ノート PC)は各社とも受け付けますが、単体の電池や大容量電池は約款で制限され、事前申告や個数制限があります。離島・遠隔地など航空機に搭載される区間では航空法の適用を受け、単体電池は受け付け不可または船便・陸送への切り替えになるのが一般的です。発送前に各社の危険物取扱条件を確認し、外装にリチウム電池マークを付けてください。

UN38.3 試験概要書とは何ですか?

リチウム電池が国連勧告の試験基準 UN38.3(高度シミュレーション・温度・振動・衝撃・外部短絡・落下・過充電・強制放電)に合格していることをまとめた書面で、製造者または販売者が 2020 年 1 月から要求に応じて提示する義務があります。輸送業者や荷受人が求めたときに出せるよう、電池のメーカーから入手して保管してください。ラベルには載せませんが、これがないと受け付けを断られることがあります。