GHS ラベルを無料で作る方法:Excel テンプレートの落とし穴とオンライン生成ツールの使い分け
「GHS ラベル 作成 無料 エクセル」で探している方の多くは、手元の SDS を見ながら Excel のテンプレートに絵表示と文言を貼って印刷しようとしています。それ自体は可能ですが、監査や取引先チェックで指摘される不備の大半は、この作り方に起因します。この記事では Excel で作るときに何が起きるかを具体的に挙げ、オンライン生成ツールとどう使い分けるかを整理します。
この記事の要点
- Excel 自作で多い不備は絵表示の変形・赤枠の色・注意喚起語の重複・文言の転記ミス・サイズ不足・SDS との不一致の 6 つ。
- 絵表示は黒いシンボル・白地・赤い菱形の枠。画像を伸縮させない、モノクロで印刷しない。
- 注意喚起語は「危険」か「警告」のどちらか 1 つ。両方書かない。
- 分類(または UN 番号)から自動生成するツールを使えば、絵表示・H 文・P 文の選択ミスがなくなる。Excel は供給者情報や品番の差し込みに向く。
1. Excel テンプレートで起きやすい 6 つの不備
| 不備 | 何が起きるか | 対策 |
|---|---|---|
| 絵表示の変形 | セル幅に合わせて画像を伸ばし、菱形が長方形に近くなる | 縦横比を固定。SVG のまま配置し、1 辺を指定して拡大縮小 |
| 枠の色 | モノクロ印刷やコピーで赤枠が黒くなる | カラー印刷。赤枠はラベル台紙に先刷りし、文字だけ後刷りする方法もある |
| 注意喚起語の重複 | 「危険」と「警告」を両方載せる | 分類の中で最も厳しい方 1 つだけ。「危険」があれば「警告」は書かない |
| 文言の転記ミス | H 文・P 文を手打ちして番号と文言がずれる | 規定文言をコピーし、番号は書かなくてもよい(書くなら一致させる) |
| サイズ不足 | 内容を詰め込んで文字が 1 mm 台になる | 容器容量に応じてラベルを大きくする。読めない注意書きは表示していないのと同じ |
| SDS との不一致 | SDS を改訂したのにラベルが古い分類のまま | SDS 第 2 項を基準にラベルを再生成する運用にする |
2. 表示項目のおさらい(JIS Z 7253)
- 製品の名称(化学品名または製品名)
- 絵表示(該当する GHS ピクトグラム)
- 注意喚起語(「危険」または「警告」)
- 危険有害性情報(H 文)
- 注意書き(P 文:安全対策・応急措置・保管・廃棄)
- 供給者の特定(名称・住所・電話番号)
- そのほか法令で求められる事項(安衛法表示では「人体に及ぼす作用」「貯蔵又は取扱い上の注意」など)
法令ごとの違いはJIS Z 7253 と安衛法・化管法・毒劇法の記事にまとめています。
3. 使い分け:生成ツールと Excel
| 工程 | 向いている手段 | 理由 |
|---|---|---|
| 分類 → 絵表示・注意喚起語・H/P 文の決定 | オンライン生成ツール | UN 番号か分類を入れれば規定の組み合わせが出る。選び間違いがない |
| 供給者情報・品番・ロットの差し込み | Excel / ラベル印刷ソフト | 製品ごとに変わる部分の一括処理が得意 |
| 絵表示の配置・印刷データ化 | 生成ツールの SVG/PDF 出力 | ベクターなので拡大しても滲まず、赤枠の比率が崩れない |
| 多品種の一覧管理 | Excel | 分類結果の台帳として使い、ラベルは台帳から生成する |
実務でうまくいく流れ:SDS 第 2 項の分類を生成ツールに入力 → SVG または PDF で出力 → 供給者情報を固定した台紙に印刷、あるいは Excel の差し込み印刷で品番だけ重ねる。絵表示と文言を Excel で「手で組む」工程をなくすのがポイントです。
4. 印刷前の 8 項目チェック
- 製品名が SDS と一致している。
- 絵表示が SDS 第 2 項と同じ種類・数で、重複がない。
- 絵表示は黒・白地・赤枠で、縦横比が 1:1。
- 注意喚起語は 1 つだけ。
- H 文・P 文が規定文言どおり(省略するなら根拠がある)。
- 供給者の名称・住所・電話番号がある。
- 容器の大きさに対して文字が読める(実物を 30 cm 離して読めるか)。
- 耐薬品・耐水の素材で、剥がれ・にじみが出ない(合成紙 + ラミネート、または PET)。
分類から GHS ラベルを自動生成
UN 番号または GHS 分類を入力すると、絵表示・注意喚起語・H/P 文が規定の組み合わせで並びます。供給者情報を加えて SVG・PNG・PDF で出力。 ツールを開く →
参考資料
本記事は以下の一次資料に基づいています。実務では最新版をご確認ください。
- 日本産業標準調査会(JISC)— JIS Z 7253 GHS に基づく化学品の危険有害性情報の伝達方法
- 厚生労働省 — 化学物質のラベル表示・SDS 交付(GHS)
- NITE — GHS 関連情報
- UNECE — Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals (GHS)
- UNECE — GHS pictograms (official artwork)
- EUR-Lex — Regulation (EC) No 1272/2008 (CLP)
- ECHA — Labelling and packaging under CLP
よくある質問
GHS ラベルは Excel で作っても法的に問題ありませんか?
作成手段に決まりはなく、JIS Z 7253 が求める表示項目(製品名、絵表示、注意喚起語、危険有害性情報、注意書き、供給者情報など)が正しく入っていれば Excel でも構いません。問題になるのは手段ではなく内容で、絵表示の変形や色、文言の転記ミス、SDS との不一致が不備の原因になります。
Excel テンプレートで一番多い不備は何ですか?
絵表示の扱いです。画像をセルに合わせて伸縮すると菱形が歪む、モノクロ印刷で赤枠が黒くなる、画像解像度が低く印刷で滲む、の 3 つが多く、いずれも JIS Z 7253 の「黒いシンボル・白地・赤い枠」の要件を満たさなくなります。絵表示はベクター(SVG)のまま、縦横比を固定して配置してください。
オンライン生成ツールは何を自動でやってくれますか?
UN 番号または GHS 分類を入力すると、該当する絵表示、注意喚起語(「危険」か「警告」のどちらか 1 つ)、危険有害性情報(H 文)、注意書き(P 文)を規定の文言で自動的に並べます。供給者情報と製品名を入れれば SVG・PNG・PDF で出力でき、赤枠付きの絵表示が正しい比率で入ります。
小さい容器で全項目が入らないときは?
容器が小さくて全項目を載せられない場合は、折り込みラベルやタグ(吊り札)を使う、外装に全項目を表示して内装には製品名と絵表示を残す、といった方法が取られます。絵表示を見えないほど縮小して無理に収めるのは避けてください。