← 記事一覧へ戻る

SDS 第 2 項から GHS ラベルを作る:H 文の統合、P 文の絞り込み(目安 6 つ)、絵表示の優先順位と混合物の注意点

更新日 2026-09-19 · ParityLabel 編集部

GHS ラベルを作る材料は、すべて SDS の第 2 項「危険有害性の要約」に揃っています。分類、絵表示、注意喚起語、危険有害性情報(H 文)、注意書き(P 文)——SDS を書いた人がすでに選んであります。問題は、それをそのまま全部ラベルに載せると小さな容器に収まらないこと。この記事は、SDS を横に置いて、何を残し何を省くかを決める手順です。表示項目そのものはJIS Z 7253 の記事を参照してください。

この記事の要点

  • ラベル要素は SDS 第 2 項から取る。自分で分類し直さない、SDS にない H/P 文を足さない。
  • H 文は全部載せる。減らせるのは統合文(H302+H312+H332 など)を使う場合と、重篤な区分に含まれる下位区分(H314 があれば H315 不要)だけ。
  • P 文は目安 6 つ。重篤な危険性への予防と応急措置を優先、統合文で行数を減らす。
  • 絵表示の優先順位:どくろ>感嘆符、腐食性>感嘆符(皮膚・眼刺激)、健康有害性(呼吸器感作)>感嘆符(皮膚感作・刺激)。
  • 注意喚起語は 1 つ:「危険」があれば「警告」は書かない。

1. SDS 第 2 項の読み方

第 2 項の記載ラベルでの扱い
2.1 GHS 分類(区分ごと)分類そのものはラベルに書かない。絵表示・注意喚起語・H 文を決める根拠
2.2 ラベル要素:絵表示原則そのまま。優先順位で省けるものだけ省く(第 3 節)
2.2 注意喚起語「危険」か「警告」のどちらか 1 つ。第 2 項に両方書いてあることはない
2.2 危険有害性情報(H 文)原則すべて。統合文と上位区分への吸収で行数を減らす(第 2 節)
2.2 注意書き(P 文)ここから選ぶ。目安 6 つ(第 4 節)
2.3 その他の危険有害性GHS 分類に該当しないもの(粉じん爆発など)。ラベルの「その他の情報」に書くか判断

第 2 項に書いてあることを疑う必要はありませんが、SDS の日付は確認してください。分類基準は改正され、日本では安衛法のラベル表示対象物質が段階的に拡大しています。古い SDS は分類が現行と違う可能性があり、その場合はまず供給者に最新版を求めます。

2. H 文:全部載せる、ただし短くする

危険有害性情報は原則すべて表示します。行数を減らす正当な方法は 2 つだけです。

方法根拠
統合文を使うH302 飲み込むと有害、H312 皮膚に接触すると有害、H332 吸入すると有害 → H302+H312+H332 飲み込んだり、皮膚に接触したり、吸入すると有害GHS 附属書 3 の統合文(JIS Z 7253 附属書も同じ)
上位区分に吸収するH314 重篤な皮膚の薬傷・眼の損傷 があれば H315 皮膚刺激・H319 眼刺激は不要重篤な区分の情報に含まれる
同じくH318 重篤な眼の損傷 があれば H319 は不要;H370 臓器の障害 があれば同じ臓器の H371 は不要同上

やってはいけないのは「収まらないから H 文を落とす」こと。落とすなら容器を大きくするか、折り込みラベルやタグにします。

3. 絵表示:優先順位で省く

絵表示は健康有害性についてのみ省略規則があります。

これがあればこれは付けない理由
どくろ(GHS06:急性毒性 区分 1〜3)感嘆符(急性毒性 区分 4)同じ経路の急性毒性で重い方が代表する
腐食性(GHS05:皮膚腐食・眼損傷)感嘆符(皮膚刺激・眼刺激)腐食があれば刺激は当然含まれる
健康有害性(GHS08:呼吸器感作性)感嘆符(皮膚感作性・皮膚刺激・眼刺激)GHS 附属書 1 の優先順位

物理化学的危険性の絵表示(炎、円上の炎、爆弾、ガスボンベ、金属腐食)にはこの規則はなく、該当するものはすべて表示します。環境(GHS09)も独立です。省略できないのに枡目が足りないときは、絵表示を縮めるのではなくラベルを大きくするのが原則で、絵表示の最小寸法は絵表示の記事にあります。

4. P 文:目安 6 つに絞る

注意書きは 4 種類(予防 P2xx、対応 P3xx、保管 P4xx、廃棄 P5xx)。GHS も JIS Z 7253 も、ラベル上は目安として 6 つ程度にまとめることを認めています。絞る順序は次のとおりです。

  1. 重篤な危険有害性に対応する P 文を残す。「危険」を導いた区分(急性毒性 1〜3、腐食性、発がん性、引火性液体 1〜2 など)の予防と応急措置が最優先。
  2. 応急措置は必ず 1 つ以上残す。P301+P310(飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡)、P305+P351+P338(眼に入った場合)、P303+P361+P353(皮膚に付着)など、実際に事故が起きたときに読まれる行です。
  3. 統合文でまとめる。P280「保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること」は 1 行で 4 つの保護具をカバーします。
  4. 重複を消す。複数の区分が同じ P 文(P210 熱・火花から遠ざける、P264 取扱後は手をよく洗う)を要求しているときは 1 回で足ります。
  5. 保管と廃棄は用途で決める。業務用の大容器なら P403+P233(換気の良い場所で密閉して保管)と P501(内容物・容器を…廃棄)を残す;小容器で SDS が手元にある職場では省いてよいことが多い。
  6. 一般消費者向けは P101〜P103(医師の診断が必要なときは容器を持参、子供の手の届かない所に保管、使用前にラベルを読む)を優先。

6 つは上限ではなく目安。危険有害性が多い製品では 8〜10 になっても構いません。逆に「収まらないから 3 つにした」は、応急措置が落ちている場合が多く、監査で指摘されます。迷ったら、事故が起きたときに現場で読まれる行を残してください。

5. 混合物で確認すること

6. 作業手順

  1. 最新版の SDS を用意し、第 16 項の改訂日を控える。
  2. 第 2 項の分類をGHS ラベル作成ツールに入力する(UN 番号からの引き当ても可)。絵表示・注意喚起語・H 文が規定の組み合わせで並ぶ。
  3. H 文を統合文に置き換え、上位区分に吸収できるものを外す。
  4. P 文を第 4 節の順序で 6 つ前後に絞る。SDS にない P 文は足さない。
  5. 供給者情報(名称・住所・電話)と製品名を入れ、容器容量に合うサイズで出力する。
  6. ラベルの版に SDS の改訂日を記録し、SDS 改訂時に第 2 項の差分を見て作り直すかを決める。

SDS の分類を入力してラベル要素を生成

区分または UN 番号を入れると、絵表示・注意喚起語・H 文・P 文が規定の文言で並びます。P 文はチェックで絞り込み、SVG・PNG・PDF で出力。 ツールを開く →

参考資料

よくある質問

GHS ラベルの注意書き(P 文)は全部載せないといけませんか?

全部載せる必要はなく、GHS も JIS Z 7253 も、ラベルには目安として 6 つ程度に絞ることを認めています(必要なら増やしてよい)。優先するのは、該当する危険有害性のうち重篤なものに対応する予防と応急措置、それに保管・廃棄で法令上必要なものです。同じ内容の P 文は統合文(例:P305+P351+P338)を使って行数を減らします。SDS 第 2 項に記載された P 文の中から選び、SDS にないものを追加してはいけません。

危険有害性情報(H 文)は省略できますか?

原則すべて表示します。省略できるのは、より重篤な区分の H 文に内容が含まれる場合(例:H314 皮膚腐食があれば H315 皮膚刺激は不要)と、GHS 附属書で認められた統合文を使う場合(H302+H312+H332 など)です。ラベルに収まらないからという理由で H 文を落とすと、危険有害性の伝達漏れになります。

絵表示が多すぎるときはどれを省けますか?

GHS の優先順位に従います。どくろ(急性毒性)があれば感嘆符(急性毒性 区分 4)は付けない;腐食性があれば皮膚・眼刺激の感嘆符は付けない;健康有害性(呼吸器感作性)があれば皮膚感作性・皮膚刺激の感嘆符は付けない。物理化学的危険性の絵表示にはこの省略規則はなく、該当するものはすべて表示します。それ以外の省略はできません。

SDS が改訂されたらラベルも作り直しですか?

分類(第 2 項)が変わっていれば作り直しです。成分濃度の変更、新しい有害性情報、法改正による区分の変更はいずれもラベル要素に影響します。第 2 項に変更がなく、第 1 項の連絡先や第 16 項の日付だけの改訂なら、供給者情報を確認して続けて使えます。ラベルと SDS の改訂日を紐付けて管理し、在庫ラベルの版を確認できるようにしてください。